学而第一の五

子曰。道千乘之國。敬事而信。節用而愛人。使民以時。

先師がいわれた。――
「千せん乗じょうの国を治める秘訣が三つある。すなわち、国政の一つ一つとまじめに取組んで民の信を得ること、できるだけ国費を節約して民を愛すること、そして、民に労役を課する場合には、農事の妨げにならない季節を選ぶこと、これである」(下村湖人『現代訳論語』)

 

節と愛はふたつだろうに3文にしなければならないほど3は素晴らしいのか。理性で扱えるのは2つまでで、3つめからはよくわからない、三体問題のような事態に陥るのではないか。

分かれているのは境界があるということであって、境界から見れば境界を挟んで対立する二界しかなく3つの世界が境界を挟むことはない。(a, b, c)は(a, (b, c))でも良く、特にここでは(敬事而信, (節用而, 愛人), 使民以時)とまでして3つにしている。(敬事而信, ( (節用而, 愛人), 使民以時))としない理由は3つでないから以外にないのではないか。